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沖縄の伝統エイサーが鳥肌モノ!?厳かに行われる地域の伝統芸能に感動してきた!
イーヤーサーサー ハーイヤ!
三線(さんしん)の心地よい音色に威勢のいい演者の掛け声、太鼓の音に鳴り響く指笛。
それらが融合して一体となり迫力ある演舞となり人々の心を惹きつける。
それが沖縄の夏の風物詩”エイサー”です。
この時期は各地でエイサー祭りが開催され、沖縄にお住まいの方のみならず観光で訪れた方々も気軽にエイサーに接することができます。
さらに全国各地においてもエイサー祭りなどが実施されるほどなんですよ(^^)
このように盛大にお祭りが開催されていると
【エイサー = イベントの催し物】
と思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、エイサーの本来の意義は沖縄の旧盆(旧暦7/13~7/15)に帰ってくる先祖の魂を[お迎えし、楽しませて、送りだす]ために『念仏踊り(盆踊り)』として地域に脈々と受け継がれてきた演舞だといわれています。
そこで今回は沖縄のエイサーについてご紹介。
イベントのエイサーは別ですが、旧盆エイサーはそのどれもが素晴らしく、先祖供養や民間信仰に基づく精神世界の奥深さ・大切さを知るとより魅力的に感じることができるかもしれませんよ(^^♪
■近現代におけるエイサー
沖縄の伝統エイサーとは各地の青年会に受け継がれてきたこともあり、地域に密着した活動形態や活動時期も夏期(旧盆や夏期イベント)に限定され、『青年会エイサー』とも呼ばれます。
そんなエイサーも時の流れと共に変化をしてきました。
代表的なものだと”創作エイサー”の登場があります。
創作エイサーは『伝統的な太鼓もいいが今の若者の価値観、時代に合った演出が必要で、受け継がれる伝統とはエイサー太鼓の型ではなくウチナーンチュの精神だと思う』として1980年代に演舞され始めたエイサーのことです。
また地域との関わりが限定的で年間を通して活動できることもあり、青年会エイサーと比べてイベントに参加する機会も増えるので、催し物として観る機会が多いのは、この創作エイサーではないかと思います。
では「青年会エイサーと創作エイサーって何が違うの?」ってことになりますよね。
◯青年会エイサーと創作エイサーの違い
青年会エイサー | 創作エイサー | |
地域との関係 | 密着型 | 限定的 |
活動形態 | 自治会/青年会 | 県外・海外にも支部 |
活動時期 | 夏期8月~10月(旧盆や夏期イベント) | 年間を通して活動 |
年齢制限 | 一般的に20代半ば | 非限定的 |
性別による役割 | 女性は太鼓を叩かない | 女性でも太鼓を叩く |
伴奏音楽 | 伝統民謡 | 沖縄ポップ等 |
実際には結構な、、いやかなりの違いがあります。
この大きな違いとしてあるのが、誰のためにエイサーを演舞しているのかになると思います。
青年会エイサーにおいては、エイサーの本来の意義として前述したように「念仏踊り」としての演舞であり、その伝統を引き継ぎ守っていくために色々と限定してきたという側面が強く残っています。
一方で創作エイサーはイベントなどで魅せるためのエイサーですが、その裾野を広げてウチナーンチュの精神を引き継いでいくために非限定的であり色んな人にエイサーを演じてもらいたいという想いがあります。
実際、創作エイサーを伝統という側面でみると??という感情を持つ沖縄県民の方も少なくないといった実情はありますが、その伝統という縛りがなく幅広く活動できるためエイサーの認知向上に多大な貢献をしています。
形は違えど、エイサーを後世に伝承していくという同じ想いのもとで活動しているんです。
■伝統の深さを感じる青年会エイサー
ここまでエイサーのあれこれについてウンチクを語ってきてしまいましたが、筆者もエイサーのシーズンが訪れると自然と気持ちが高ぶるただのエイサー好きの中年です(笑)
そんなエイサー好きの筆者がオススメする青年会があり、沖縄本島中部に位置する”うるま市”から県内外でも高い人気を誇る【平敷屋(へしきや)青年会】と【屋慶名(やけな)青年会】の2団体で、そのエイサーの特徴を簡単にご説明いたします。
➀平敷屋(青年会)エイサー
まず最初にご紹介するのは平敷屋エイサー。
沖縄県うるま市 勝連(かつれん)平敷屋集落に受け継がれてきた伝統エイサーで、僧侶を思わせる素朴な衣装に素足のままで踊るパーランクー(手持ちの肩張りの太鼓)主体のエイサーで、沖縄エイサーの原型とも言われ県内で一番古い継承200年以上の歴史をもつ青年会です。
平敷屋青年会の演舞は、メーワチと呼ばれる頭が前舞い(メーモーイ)をしてエイサーの雰囲気を盛り上げます。
そこからエイサー演舞が始まりパーランクーの音色もさることながら、演者の指先にまで神経を行き届かせたバチ捌きや太鼓の返し、腰のひねりと降ろし具合、綿密に合わせられた足の運びによる整然とした隊列の美しさに魅了されます。
また平敷屋ではチョンダラーのことを《ナカワチ》と呼び、そのナカワチによる指笛や威勢のいい囃子(はやし)がエイサーの迫力をさらに増大させます!!
そんな平敷屋エイサーを実際に見てきましたが、特に旧盆最終日に集落の神屋(かみや)前で演じられるエイサーは、祭りなどのイベントでは感じることができないような厳かで長年受け継がれてきた伝統の深さを感じることができますよ(^^♪
➁屋慶名(青年会)エイサー
次にご紹介するのは屋慶名エイサー。
沖縄県うるま市 与那城(よなしろ)屋慶名集落に伝わるエイサーで、きらびやかな衣装で威厳を漂わせ膝を高く上げあげて踊りながら緻密な構成の隊列が魅力的で、こちらも継承130年以上と長い歴史のある青年会です。
まず屋慶名青年会は、その規模も県内最大級で、旗頭、酒カタミヤー(チョンダラーの頭)、大太鼓、パーランクー、ジーヌー(手踊り)、チョンダラー(京太郎)、地方(伴奏者)で構成されています。
演舞は酒カタミヤーによる前舞い(メーモーイ)から始まり、エイサーでは、旗頭・酒カタミヤーを先頭にエイサー隊(大太鼓・パーランクー)、ジーヌー、チョンダラーの順番で入場していきます。
エイサー隊を先導する大太鼓の2人の力強さ、表情を全く変えない堂々とした演舞も目を惹かれますが、パーランクーの一糸乱れぬ隊形と腰をおとし膝を高く上げる独特な踊り、小さなパーランクーだからこそできる華麗なバチさばきも見どころです!
ジーヌ-(手踊り)は女性たちのしなやかで美しい手の動き、それと合わせて踊りながら皆楽しそうな表情なので、見ているこちらも笑顔になっちゃいます(´▽`*)
演目の中盤にはチョンダラーたちが小さい子どもを探しながら練り歩く際には、自らの子どもを差し出して抱っこしてもらうことで無病息災を願う風習を色濃く残しているんですよ!
また沖縄では商売繁盛を願い飲食店などがエイサー演舞の依頼をする風習があるのですが、屋慶名青年会がエイサーを踊るとなると伝統エイサーを一目見ようと数百人規模の観衆が集まるほど大人気なので、実際に足を運んでみると人の多さにビックリするかもしれませんΣ(゚Д゚)
以上、筆者がおススメする是非とも観て欲しいエイサー団体でした。
■4年ぶりに開催
ついに今年(2023年)、4年ぶりに全島エイサーまつりが開催されました♪
参加した各青年会、エイサー団体も各々が練習してきたエイサーを披露できる場が制限されてきた時期を経て、待ち焦がれていたかのように優雅で迫力あるエイサーを踊っていましたね。
そんなエイサーを観ていて
『あれっ!この青年会ってこんなに大人数だったっけ?』
と思っていたら、事情を調べてみると本来なら引退している世代のメンバーが参加しているんだとか!
前述したように青年会エイサーは20代前半(25才まで)に限定しているところも多く、26才になったら引退というのが一般的だが、エイサー祭りが開催できなかった期間にその年齢を迎えたメンバーもなくなく引退していました。
そんなメンバーのため今回は伝統を超越した対応をしたそうなのです。
なんか話聞いて感動しました(´;ω;`)ウッ…
また今年は、旧盆にはご先祖様をあの世に送り出すために地域内をエイサーで踊り歩く《道ジュネ―》も各地で見られるようになりました。
そんなエイサーのある光景を見ているだけで日常が戻ってきたんだなと実感します(´▽`*)
■エイサーが抱える継承課題
ここまでエイサーをあれこれ語ってきましたが、エイサーが抱える課題についてもお伝えします。
まず日本全体として抱える問題、少子化による若年層の減少、人口の一極集中による地方の過疎化。
ここ沖縄でも例外ではなく集落単位で若年層数が減少してきていて、エイサー人口も減少してきています。
「エイサーは練習がキツイ」
「青年会は上下関係が厳しい」
など、ダークなイメージも相まって若者のエイサー離れがあるのもエイサー人口の減少に拍車をかけています。
ここ数年の間に新規メンバーを確保できず解散に追い込まれる青年会もあるほどで、各青年会は守るべき伝統と継承していくメンバーの確保に苦慮していると聞きますが、まずはダークなイメージを払拭して、より多くの若者にエイサーの魅力を伝えて参加してもらえるよう普及活動していくとのことです。
これからも魅力ある青年会エイサーを伝承していって欲しいと切に願うばかりです。