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沖縄のスーパーフード『琉球桑茶』の自然と調和する育成法とその想い
無農薬で育て、手作業で収穫するスーパーフードの呼び声高い島桑(シマグワ)
栄養豊富な上に無農薬で育てているって一体、どんな風に育てられているのでしょうか?
育成から収穫まで見学させてもらいました。
■4月 まだヒザ下くらいの高さの小さな島桑たち
本土では春、沖縄では初夏とも言える4月。
2月〜3月頃に一度収穫し、剪定して低くなっている島桑。
大きさもまだまだヒザの高さくらいです。
葉っぱの大きさも指の長さくらい。
収穫の時期は6月ごろです。
たった2ヶ月で驚くほど大きくなった姿が見られます。
無農薬で育てるためにどんな世話をしているのかと言うと、なんとほとんどお世話をしていません。
島桑は虫などの外敵にも強く、沖縄の自然に適応した生命力の強い品種なので、お世話をほとんど必要としないそう。
数少ない主なお世話が2つ。
1つが剪定。
枝分かれを少なくし、葉に栄養が行き渡るように剪定を行っています。
もう1つが、雑草取り。
桑の根本に茂った雑草を1ヶ月に1回ほど行うそうです。
雨の多い沖縄の気候では水やりは必要がなく、自然の雨のみで大丈夫だそう。
人の力をほとんど借りずに育っていくので、桑畑を訪れることはほとんどありません。
今はまだ奥の景色まで見えますが、2ヶ月後には人の身長を超えてしまうほど成長すると聞きましたが、このときはまだ半信半疑でした。
■6月 たった2ヶ月で軽トラの高さくらいの高さになった島桑
6月。
「収穫作業の風景を見に来ませんか」と連絡を受けて、私たちも見学に向かいました。
時刻は朝7時半。
ヒザ下だった島桑が軽トラくらいの高さに茂っていました。
見えていた景色は遮られてほとんど見えません。
桑の葉も2ヶ月で手のひらサイズを超えて手首くらい大きくなっています。
ここまで成長するのはとても驚きです。
到着したときには既にバッサバッサと枝を落とす作業中。
やはり農作業の朝は早い。
使う道具はカマ1本。
作業もシンプルでヒザを折って、腰を曲げ、刈っていく。これは大変そうです。
背中ににじむ汗が大変さを物語ります。
沖縄では6月下旬は梅雨が終わる頃で、この時期に独特の蒸し暑さが感じられます。
早朝7時台とは言え、やはりキツい。
幸いにもこの日は雲が多いが雨は降らず、風も吹いているので涼しく感じました。
収穫した島桑の幹部分は、また枝を伸ばして葉をつけます。
先ほど紹介した4月の様子のような光景が1~2ヶ月ほどで広がるそうです。
ここで収穫をされている皆さまは70歳近い方が多く、本当に頭が下がります。
軽トラ1台につき100キロから200キロの桑葉を積載するそう。
この日の収穫量はなんと約400キロ。
収穫すれば、持ち帰ってすぐに次の工程の作業です。
息つく暇もありません。
■葉落とし
やってきたのは沖縄県浦添市にある養蚕絹織物施設サン・シルク
ここではカイコを育て、絹糸を生産して織物を製造販売、桑葉製品を製造加工し販売している施設です。
桑の葉と言えばカイコ。
元々、絹織物のために島桑を育てていたのが琉球桑茶の始まりなのです。
この建物の裏で作業開始です。
先に待機していたお姉様方がおしゃべりをしながら、作業していました。
先程、収穫していたチームもこの作業に加わります。本当に体力のいる仕事です。
ここでは葉を枝から落とす”葉落とし”という作業を行います。
ひと目では葉っぱ一枚一枚をちぎっていくのは大変そうと思いますが、作業自体はとても簡単。
枝の先端部分から枝皮の表面を握りこぶしを滑らせるようにすれば、葉っぱが削ぎ落ちていくのです。
ただし、注意も必要。
島桑の数少ない天敵のクワゾウムシが栄養を吸い取ってしまうそうで、このように黄色くなってしまうのだそう。
そこで選別が必要になります。
このように黄色い葉っぱや、虫に食べられてしまった葉っぱを入れない作業でもあるのです。
この日の収穫量は約400キロ。
”葉落とし”の作業で葉っぱと枝で仕分けしていくと比率として、
葉っぱが6
枝が4
くらいで、大体240キロが葉っぱです。
収穫したすべてが製品になる、とはいかないんですね。
選別した葉っぱは5kg1袋の単位で分別されていきます。
一方、葉を選り分けた作業の後には160キロ分の枝が残りますが、これは別の場所に運ばれます。
ただ、そのまま処分するのが「これだけのモノが出てるのに処分するだけはもったいない」ということでシュレッダーのように細かく裁断。畑へ戻してあげて、水はけを良くしたり、肥料の浸透への手助けのために使用したりする取り組みを始める予定です。
島桑のすべてを循環させてムダを作らないことを全員で目指しています。
ここでの作業は簡単に見えますが、最も長く働かれている伊佐(いさ)さんは含蓄のあることをおっしゃってくれました。
「作業はね、常に良い気持ちでやらないと!受け取ったお客さんがお腹を壊すかもしれないからね(笑)だから、いい雰囲気を作ることを心がけているんだよ。」
「特に彼はねぇ、『こんなに楽しい職場ってないよな!』って言ってました(笑)
彼は30数年は別の仕事をしてきて、この仕事してるからね。」
話に上がって少し照れくさそうにしていましたが、「この人と付き合ってるワケじゃないよ~(笑)」とおっしゃっていました。
伊佐さんに『もう少し詳しくお願いします』と伝えると、続けて話してくれました。
「ここが良い雰囲気だったらね、それはお客さんにも伝わっていくと思っているのよ。
ほら、話も出来ない雰囲気だったら、他の人のに虫が混じってても言えないでしょ?」
「良いエネルギーが流れている職場だったら、きっとお客さんにも届くからね。
だから、こうして笑って作業ができることってとっっっても大切なの(笑)
これはどこの職場でも同じことよ。」
この後、島桑の葉を乾燥し、粉末にしてパッケージに詰め込んでいく作業がありますが、現在取材中です。
完成次第、随時更新していきますのでお楽しみに。