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【辺土名高校で学ぶ意味】沖縄県で自然と共に生きることを学ぶ生徒たちの日々
前回記事は
2024年カレンダーは辺土名高校とコラボカレンダー!?高校生とコラボ!?
今回は
辺土名高校サイエンス部の活動をおさらいし、
辺土名高校生徒たちにインタビュー。
「なんで辺土名高校を選んだの?」
「辺土名高校へ入る前と入った後で想像していたことにギャップってあった?」
「将来はやりたいことってある?」
の質問をしてみました!
また、校長先生にもインタビューさせてもらい、
地域との連携の必要性や教育に託す願いを伺うことができました。
沖縄への高校進学を考えている受験生や親御さん
夢多き若者を応援したい大人の方々
地域と学校の在り方について悩む方々
本内容は様々な方へお伝えできればと思っています。
※写真は全てご本人の了承の上で掲載しております。
■辺土名高校サイエンス部ってどんなことしてるの?
サイエンス部の取り組み発表を一般向けに行うと聞き、行ってみました!
2年生の部長さんがパワポを使って発表します!
発表では在来生態系を守る保護活動が報告され、
農作物などに被害を及ぼすツタ性植物の外来生物の駆除や
渡り鳥の保護プロジェクト。
この取り組みはNHKにも取り上げられています。
『エリグロアジサシ~地域での保護を目指して~』
https://www.nhk.or.jp/okinawa/lreport/article/000/20/
こうした自然保護に関する啓発を小中学生へ向け、出前授業として頻繁に行っていることが報告されました。
立派な活動ですね!スゴイ!
ちなみにですが本日の発表会は、
エコツーリズムのツアーガイドの方や、環境省の方が合わせて発表を行っており、大人に混じっての発表!
大人と高校生の垣根無く同じ土俵で発表が行われている点は、非常に現代的だなと感じるところでした!
■みなさん、辺土名高校へ進学した理由はなんですか?
ぜひ、部長にも話を聞いてみたい!
と思っていたのですが、なんとこの日は急きょ、沖縄県中部の高校へ研究発表のプレゼンへ行ったとのこと。
急きょ、外部でプレゼンが入ってしまう高校生がいると思ってなかったので、自分の認識の甘さを反省しました…。
カステヤノス エミリさん サイエンス部副部長
神奈川県から進学 取材時2年生
進学のため家族で沖縄に移住してきたのだそうです。ちなみにご両親は中南米の方!
「神奈川県から進学してきたんですか!まず進学を希望する前に、この学校をどんな経緯で見つけたんですか?」
「最初に『田舎に行きたい!』ってのが気持ちとしてずっとあったんですよ。
たまたまですけど、数年前からお兄ちゃんが沖縄県北部で仕事を始めたので、ついでに”やんばる”へ遊びに来る機会があったんです。。
”やんばる”がとっても気に入って、そのときに辺土名高校を見つけたんですよ。調べると普通科と自然環境科があったから進むなら自然環境科が良いなって思いました。」
「へぇ~!自分の希望するライフスタイルから進路選択が始まったんだ!しかも進学で家族ごと移住してくるってスッゴい素敵な両親!
ただ、ここは神奈川と比べると遊べる場所が少ないですよね?村にコンビニが2つしか無いし…。実際、進学してみて想像してたことと違うことってありましたか?」
「全然無いです!想像通りの生活ですよ!
今は服作りが趣味でサイエンス部の他にも家庭科部を掛け持ちしてて、ズボン作ってます(笑)楽しいことっていっぱいありますよ!この学校来てよかったですよ!ほんとに!」
「ぐ、愚問でした…。すみません、自分の感性の鈍さを痛感しました。。。
ちなみにサイエンス部ではどんな活動をしてきたんですか?」
「たとえば、
(大手旅行会社)さんが”やんばる”の生き物をARアプリにするっていうプロジェクトに参加して生き物のデータを集めたり、何回かミーティングを重ねて完成しました。今は”やんばる”のツアーで使われているらしいです。
あと、
沖縄でカカオを育てている農家さんと無農薬でカカオを栽培するための研究ってのにも参加して。お兄ちゃんがマンゴー育ててるんですけど、マンゴーとカカオって害虫が同じなんですよ。それで役に立たないかって思って。ちゃんと効果があるやり方も見つかりました!
やっぱり自分の面白そうと思うテーマを選んでますね。」
「すげぇ!超面白そうなことやってる!自分も参加してぇ~!!!
エミリさんは高校卒業後の進路ってどう考えてるんですか?」
「自然に関わる仕事がしたいです!
ツアーガイドをやってみたいと思ってるんです。”やんばる”は世界自然遺産にもなったし、将来的には外国人もたくさん”やんばる”を訪れると思うので稼げるかなって(笑)
自分はスペイン語とポルトガル語が出来るし、英語も勉強中です。何よりもここを外国の人が訪れたときに自然を伝える人が必要。いろんな人に”やんばる”の自然を知ってほしいし、伝えたいんですよ。
今のうちに出来ることは増やして、仕事の幅を広げたいですね!」
ちねん まさや さん
県内から進学 取材時1年生
可愛いおばあちゃんを雑誌で見かけたから切り抜いてスマホケースに入れているのだそう。どういう趣味なの?
「ちねんさんは辺土名高校を選んだ理由はなんだったんですか?」
「辺土名高校って目の前が海じゃないですか?だから、ずっと釣りができると思って。」
「おお!予想してなかった理由だ!え、本当?」
「うん、そうですね。自然が好きだったから。
あと、中学校の音楽の先生にオススメされたんですよ。」
「そっちが本当っぽいなぁ…。
音楽の先生はなんでちねんさんに辺土名高校をオススメしたんですか?」
「そのときの自由研究でバッタに含まれてる栄養分の研究をして。たとえば、タンパク質が多いとか、アミノ酸が入ってるとか。その研究が面白いから、辺土名高校の自然環境科をオススメされたんですよ。技術系の高専と迷ったんですけど、やっぱり自然の方が好きだったから。」
「えええ!?すんごい研究!どうやって調べるの???賞とか獲ったでしょ!?」
「あ、知り合いが栄養成分を抽出できる機械を持ってたんですよ(笑)それを貸してもらって。
でも、同級生がもっとすごくて。テニスボールの空気抵抗の研究してて、それに負けたんですよ。研究も読んだけど、何書いてるか意味わかんなかったです。
まぁ、しょうがないなと思いました(笑)」
「ちょっとちょっと!中学校からハイレベル過ぎるわ!
じゃあ、実際に入学してみてイメージとギャップはありましたか?」
「学校の目の前の海、あんまり魚がいなかったんです…。
ずっと釣れないんです…。釣り方が悪いかもしれないんですけど。」
「2年釣れなかったらもういないんじゃないかな…?
てことは、学校は楽しかったんですか?」
「楽しいですよ!
他にも、ウエイトリフティング部と水泳部と美術部を掛け持ちしてて、いろんなこと出来て楽しいです。嫌なヤツもいないし。」
「へぇ~!エミリさんも言ってたけど部活の掛け持ちしてる人多いんだ!楽しいんだろうな~!」
どうしてもスマホの裏を見せたいということで、こうなりました。
しまぶく らいか さん
取材時1年生 県内から進学
話す雰囲気と違って、非常にホットな内面を感じました。
「1年生に聞くのは初めてだなあ。
しまぶくさんは辺土名高校を選んだ理由ってなんだったんですか?」
「テレビや人づてにサイエンス部ってのがあるって聞いたのがきっかけです。
生き物や自然に興味があって、特に虫が大好きだったんです。
それで”やんばる”の自然について学びたかったのが理由で自然環境科を選びました。」
「サイエンス部が動機になったんですね!ちなみにどこから進学してきたんですか?沖縄以外?」
「自分は沖縄市に家があって、今は高校の寮に住んでます。」
「あ、沖縄県内からの進学なんですね!確かに辺土名高校は遠いから寮が無いと通えないもんね!
じゃあ、入学後のギャップってありましたか?」
「ありました。みんな自然が好きかと思ったけど、意外にクラスで半分くらいだったんです。それがね、ちょっと想像と違ったっていうか。」
「へえ。あ、そういうギャップが!」
「まあ、少人数で虫とか自然が好きって人たちと固まっていろいろ出来るのは良いところですね。正直、サイエンス部がメインの学校だと思ってました。」
「なるほど。期待と想像が膨らんでたんだ。人それぞれの温度差ってあるもんね。
昔から自然が好きだったんですか?」
「小学生の時にサイエンスクラブで研究していて、小5のときにセミの研究で賞獲ったりしました。
今はサイエンス部でオキナワトカゲをどうやって守るかを研究するプロジェクトチームにいて、大学の先生とかと一緒にやったりしてます。」
「なんか、虫好きの少年が好奇心そのままに大きくなったみたいですね!素敵だなあ!」
「いずれは自分がサイエンス部の部長をやって、部を回していきたいっすね。一応、ライバルはいるんですけど。」
「もしかして、、、しまぶくさんの熱量が高過ぎるから周りとのギャップがあるってことも無い…?」
「あー、それはたまに思います。」
「思ってるのね!いわゆる自然ガチ勢なのね…。そりゃガチ勢はどこでも悩むよな…。
もしかして、将来は研究者になりたいとか?」
「そうです!学者とか研究者になりたいです!」
■校長先生にも
生徒たちからは一様に「辺土名高校は楽しい!」と聞き、改めてこの高校について、校長先生へ伺いました。
・進学希望は増えているが、逆に大きな悩みも…
世界自然遺産のすぐそばという特殊な環境と、自然に親しむための教育プログラム。
一連の生徒さんたちへのインタビューでも素晴らしい環境ということが伺えました。
「そうですね。ここは世界自然遺産のすぐそばにあるということで非常に貴重な学びの機会がたくさんあります。生き物もたくさんいますし、熱心な先生たちもいます。生徒たちにとっては素晴らしい場所になってると思います。」
取材の中で他にもたくさん生徒たちに話を聞くと沖縄県外から進学してきたという子が多くいらっしゃいました。
「沖縄県内ではかなり異例な気がします。これから生徒数も増えていきそうで未来は明るいですね!」という話を校長先生に話すと、思ってもいない答えが返ってきました。
「辺土名高校には寮があるのですが、50名ほどしか入居が出来ないんですよ。
なので、確かに県外から進学希望は多いんですけれど、事前に『合格者の中から寮の抽選があるので入居が出来ない可能性がありますよ。』と必ずお伝えしているんです。
県内中南部からの進学希望者もいますので入寮できない子がいて諦めざるを得ない方もいるんですよ。それが本当に申し訳ない。」
確かに、希望者がいても寮には限界がある。入学希望者が増えれば増えるほど良いことだと思っていた自分には思い至らない現実でした…。
確かに沖縄県内でも辺土名高校はかなり遠隔地にある学校です。車が無いと生活が難しいくらいの場所ですので、生徒さんたちの生活維持は確かに学校の責任外です…。
・地域との連携が学ぶ環境を作る
それでも、なんとか入ることは出来ないか?と相談を受けることも多いそう。
「近年は村役場からの紹介で、近隣の区長さんの家にホームステイのような形にしてもらっている子も中にはいます。
ただこのケースは、生徒・保護者と地域住民との直接交渉の必要があり、協力してくれる方がいてこそです。」
辺土名高校のある大宜味村では高齢化と過疎化が進んでおり、その点でも難しいお願いなのだそう。それでも地域の方との意見交換をする取り組みを続けているのだそうです。
他にも、地域の子たちへの出前授業の取り組み、学校の取り組みを周辺地域住民へ広報活動のようなことも行っているのだそうです。
「この場所にずっと住んでると豊かな自然が当たり前になってしまって、素晴らしさに気付かないんです。まぁ、生まれたころからあったら実際しょうがないですよね(笑)
囲まれている自然や辺土名高校生たちの活動をしっかりと伝えていって、出来れば協力して、守っていきたいですよね。」
学ぶ環境を整備するためにはこうした下支えがあるとは、なかなか思い至らなかったです。
・生き物が好きでなかった生徒も動物の世話を通じて
学校は地域の中にある。学ぶ環境は学校だけでなくみんなで作っていくことが理想。様々な難問を抱えながらも、教育現場のために努力なさっていました。
「マスコミによく取り上げていただいているので、本校は生きものがとっても好きな生徒ばかりのように感じる人は多いと思いますが、生きものが好きではない生徒もいます。また、人との関係が苦手で登校に気が進まなかった子が動物の世話を通じて学校が好きになる生徒もいます。
生徒は一様ではありませんが、本校で学ぶことで自然に優しく、生きものを愛する心をここで養い、やんばるの自然の良い理解者に育ってほしいなと、私たちは思っています。この想いを次世代に繋いでいきたいです。」
■自然への想いが作られる教育現場へ協力できることはなんだろう?
今回は辺土名高校に関わる皆さんにお話を聞くことができました。
2024年お客さまカレンダーの写真提供を本当にありがとうございました。
現在、”自然を守り、共に生きることを学ぶ場”がどうなっているのかをお伝えしたかった。
実際に現場を訪れた筆者しもじは気付くことや心動くことも多かったですし、私たち沖縄の特産品を販売する沖縄シークヮーサー本舗(沖縄特産販売 株式会社)として、農産物を作る地域へ関わりを持つカタチとして今回、自然への想いが作られる教育現場へ協力をお願いしました。
進学を考えている方。学校の様子を知りたい方。地域と学校のあり方を考えていらっしゃる方のために本記事は文字数と情報量を多くしました。
インターネットで沖縄の特産品を販売する会社として、今回は「他で発信していないような情報をインターネット上に掲載することが地域や学校への貢献になるのではないか」と手探りながら考えて執筆いたしました。
これから進学を考えてらっしゃる方は、生徒さんの雰囲気や進学したイメージが湧きましたらとても嬉しいです。
▼これまでのカレンダーコラボ▼